試しにChatGPTで自社名を検索してみた。表示された内容に愕然とした
ChatGPTに自社名を入力すると、古い情報や的外れな説明が返ってくることがあります。「情報が見つかりません」と表示される場合すらある。これがAI検索時代における企業の現実です。
ある日、ふとした好奇心でChatGPTを開いて、自分の会社名を入力してみました。
返ってきた回答を読んで、言葉を失ったのです。
返ってきた回答に起きていたこと
- 3年前に終了したサービスが「主力事業」として紹介されていた
- 代表者の名前は合っているけれど、事業内容の説明がどこか別の会社と混ざっているようだった
- 一番大切にしている理念やこだわりについては一文字も触れられていなかった
これは私たちだけの話ではありません。試しにクライアントの社名を何社か入力してみたら、似たような状況でした。ある会社は「情報が見つかりません」と返されました。10年以上地域で実績を積んできた会社なのに、AIの世界では存在していないことになっていたのです。
Perplexityでも試してみました。結果はChatGPTとは少し違いましたが、核となる想いや強みが伝わる回答にはほど遠い。断片的な情報のつぎはぎで、読んだ人が「この会社に頼みたい」とは到底思えない内容でした。
これは他人事ではないと思います。今この記事を読んでくださっているあなたの会社も、AIの中では全く別の姿で語られているかもしれません。あるいは、そもそも語られてすらいないかもしれないのです。
AI検索はすでにビジネスの入り口になっている
AI検索は企業を調べる新たな入り口になっています。Google検索とは異なり「回答」を返すため、自社の情報が含まれていなければ、存在しないのと同じ扱いになります。
「うちの会社を調べるのにChatGPTを使う人なんて、まだいないでしょ」。そう思われるかもしれません。けれど、現実はもう動いています。
取引先の若手担当者が、発注先の候補をChatGPTに聞いている。採用候補の学生が、企業研究にPerplexityを使っている。新規顧客が「○○市で○○に強い会社は?」とAIに質問している。こうした場面が、もう日常になりつつあるのです。
Google検索とAI検索の決定的な違い
Googleなら、自社サイトが2ページ目にあってもたどり着く可能性はゼロじゃなかった。AI検索では、回答に含まれるか含まれないか。0か1かの世界になります。
しかも、AIが返す回答は一つだけ。「○○の分野ならA社がおすすめです」とAIが答えたら、多くの人はそれ以上調べない。比較検討のプロセスが丸ごとスキップされる。
これは中小企業のデジタル戦略にとって、根本的な変化です。SEO対策でGoogle上位を狙う時代から、AI検索でどう語られるかを設計する時代に、すでに移り変わっています。
「うちみたいな小さい会社は関係ない」と思っていた
AI検索対策が必要なのは大企業だけではありません。むしろ中小企業こそ影響が大きいのです。情報量が少ない企業ほど、AIに正しく認識されにくいからです。
「AI検索? うちみたいな20人の会社には関係ないよ」。正直、私たちも最初はそう思っていました。AIの話題は大手IT企業やスタートアップのものだろうと。
でも、よく考えると逆なのです。
大企業は、ニュース記事、プレスリリース、Wikipedia、SNSでの言及。AIが学習できる情報が大量にあります。多少古い情報が混じっていても、全体としてはそれなりに正確な回答が返る。
一方、中小企業は違います。自社サイトの情報が薄かったり更新されていなかったりすると、AIが参照できるソースがほとんどない。結果として、的外れな回答が返るか、そもそも回答に含まれないかのどちらかになります。
中小企業こそ、AI検索の影響を真正面から受ける立場にあるのです。
もう一つ、経営者あるあるの思い込みがあります。「うちは紹介で仕事が回っているから大丈夫」という考え方。これも私たちはクライアントからよくお聞きする言葉なのですが、紹介で名前を聞いた人が最初にやることが、AI検索で調べることだとしたらどうでしょうか。
紹介者の信頼でつながった縁が、AIの不正確な回答で途切れる。そんな場面が、実はもう起きている可能性があるのです。
AIが自社を正しく説明できない根本原因
AIが企業を正しく説明できない根本原因は、自社サイトに「核となるメッセージ」が明確に記載されていないことにあります。GEO(生成エンジン最適化)の出発点は、技術対策ではなく言語化です。
「AIが間違えるのはAIの問題でしょ?」と思われるかもしれません。けれど、AIの立場になって考えてみてほしいのです。
AIは、Web上にある情報を集めて回答を組み立てています。自社サイトに「私たちは何者で、誰に、どんな価値を届けているのか」が明確に書かれていれば、AIはそれを拾って回答に反映できる。けれど、その核となるメッセージが書かれていなければ、AIは断片的な情報をつぎはぎするしかないのです。
つまり、AIが自社を正しく説明できないのは、AIのせいではなく、自社の情報発信側の問題なのです。
GEO(生成エンジン最適化)の本質
- SEOがGoogle検索向けの最適化だったのに対して、GEOはAI検索向けの最適化
- テクニカルな施策をイメージするかもしれないが、本質はシンプル
- 自社の核が言語化されていて、それがWebサイトに一貫して実装されているかどうか
- それだけの話
技術的な対策の前に、まず「自社を一言で語れる言葉」があるかどうか。この問いに答えられない状態では、どんなSEO対策もGEO対策も空回りしてしまうのです。
核を言語化してWebに実装した企業のAI検索結果が変わった話
自社の核となるメッセージを言語化し、Webサイトに一貫して実装した企業では、AI検索での回答内容が改善された事例があります。
ある会社の話をさせてください。地方で20年以上続く、従業員15人ほどの会社でした。
ChatGPTにその会社名を入れると、以前は業種すら正確に出てきませんでした。社長は苦笑いしながら「AIに忘れられた会社だね」とおっしゃっていました。
その会社が、自社の核となる想い、創業の原点、誰にどんな価値を届けたいのかを徹底的に言語化したのです。そして、その言葉をWebサイトの隅々にまで一貫して実装していきました。トップページ、事業紹介、代表メッセージ、採用ページ。すべてが一つの軸でつながるように。
事業内容が正確に語られた
数ヶ月後、もう一度ChatGPTに社名を入力してみました。返ってきた回答は、以前とは別物でした。事業内容が正確に説明されるようになっていたのです。
強みがきちんと含まれた
その会社ならではの強みがきちんと含まれるようになりました。AIが拾える「正しい情報」が増えたことで、回答の解像度が上がったのです。
推奨される機会が増えた
「○○ならどこに相談すればいいか」という質問に対して、社名が登場するようになりました。AI経由の問い合わせが少しずつ増えていったのです。
もちろん、AI検索の結果は常に変動するし、完璧にコントロールできるものではありません。けれど、核が言語化されてWebに実装されていれば、AIが拾える「正しい情報」が増える。結果として、回答の精度は確実に上がっていくのです。
まとめ — まずはAIに自社名を聞いてみる。そして、話してみる
中小企業のAI対策の第一歩は、今すぐChatGPTやPerplexityに自社名を入力してみることです。そして、表示された内容を見て感じたことを、誰かに話してみてほしいのです。
今日、すぐにできることがあります。ChatGPTかPerplexityを開いて、自社名を入力してみてください。
返ってきた回答を読んで、どう感じたでしょうか。「まあ、こんなものか」と思ったかもしれない。「全然違う」と驚いたかもしれない。どちらにしても、それがAI検索時代における自社の現在地です。
もう一つ、やってみてほしいことがあります。「○○市で○○に強い会社は?」と、自社が選ばれるべき質問をAIに投げてみること。自社の名前が回答に含まれているかどうか。含まれていないなら、それは「AIの世界ではまだ存在していない」ということを意味します。
不安を煽りたいわけではありません。ただ、現実を知ることが第一歩だと私たちは考えています。
そして、もし「うちの会社、AIにちゃんと伝わっていないな」と感じたなら、次の一歩は「書く」ことではなく「話す」ことだと思います。自社の核を一人で言語化するのは、構造的に難しい。誰かに話しながら、自分の中にある言葉を引き出していく方が、ずっと確実なのです。