本文へスキップ
I'm Hopping

HOME / HAKURAI / UPS

Hakurai.

BRANDING × CHARACTER

加盟店と共有する、ブランドの顔。

文・編集 I'm Hopping  / 

記事の考え方を表した概念イラスト
記事のテーマを表した概念イラスト(公式キャンペーン画像ではありません)

本部では丁寧にブランドを整えた。けれど、代理店や加盟店の店頭では、まるで別の会社のように語られている。そんなもどかしさはないでしょうか。

ロゴの使い方はばらばら。チラシは各店が独自につくり、言葉づかいも店ごとに違う。本部が出す広告は、現場から「うちの店には関係ない」と見られている。

これは、代理店網や販売パートナーを持つ会社なら、規模を問わず起きる悩みです。

アメリカのThe UPS Storeは、ブランドのメッセージをそろえ、加盟店を支援するために「キャラクター」を起用しました。

01

REPORTED CONTEXT

何が起きたのか

米メディアMarketing Diveによれば、The UPS Storeは自社として初めてのブランドキャラクター「Blu(ブルー)」を起用し、複数年にわたるキャンペーンを始めました。

Bluは、青いポロシャツを着た親しみやすい女性のキャラクターです。テレビ、デジタル、ソーシャルメディア、印刷物と、あらゆる接点で展開されます。

The UPS Storeは、2026年8月の公式発表時点で米国内に5,500店超を持つフランチャイズチェーンです。そして記事の見出しには、このキャラクターが「フランチャイズ加盟店を支援するため」のものだと明記されています。

狙いは、発送だけでなく、印刷や私書箱などのサービスも伝えること。公式発表によれば、Bluは加盟店と顧客への調査や検証を通じて開発されました。確認した資料には施策の効果を示す数値はなく、以下はその設計の読み解きです。

02

EDITORIAL PERSPECTIVE

なぜ効くのか——ブランドに「顔」を与え、現場に手渡す

フランチャイズには、本部と加盟店のあいだに生まれやすいすれ違いがあります。本部はブランドの一貫性を求め、加盟店は目の前の売上を求める。どちらも正しいからこそ、話がかみ合わないのです。

全国広告がどれだけきれいでも、加盟店のオーナーにとっては「自分の店に客が来るかどうか」と結びつきにくい。その距離が、本部への不信の種になります。

ここで、キャラクターが効いてきます。

キャラクターは、抽象的なブランドの考え方を「顔のある存在」に変えます。たとえば全国広告のBluを、各店のポップやSNSにも一貫して使えれば、本部の言葉を現場で語る共通言語になり得ます。これは応用の考え方であり、各店舗での導入状況を確認したものではありません。

つまりBluは、お客様向けの顔であると同時に、本部と加盟店をつなぐ道具でもあると考えられます。本部、加盟店、お客様。三つの立場に一つの顔で語りかける設計です。

記事の考え方を表した概念イラスト
記事の考え方を表した概念イラスト(公式キャンペーン画像ではありません)。
03

EDITORIAL PERSPECTIVE

日本の中小企業が使うなら

そのまま真似するのはおすすめしません。理由は二つあります。

一つは、本部がつくったキャラクターを「押しつけ」と感じる代理店や加盟店があることです。地域に根ざしたパートナーほど、本部の色に染まることに抵抗を持つ場合があります。

もう一つは、キャラクターが「かわいさ」だけで消費されやすいこと。マスコットとして愛されても、ブランドの人格を代わりに語る存在にならなければ、手間に見合いません。

日本で活かすなら、キャラクターを「全国向けの広告素材」ではなく、「現場が使う道具」として設計することです。

すぐ試せる形を三つ挙げます。

一つ目は、担当者の顔をキャラクターにすること。実在の担当者をもとにしたイラストを、名刺、見積書、メールの署名にそろえて使います。法人取引では担当者の異動で関係が途切れがちですが、キャラクターは異動しません。

二つ目は、キャラクター入りの「使える型」を一緒に配ること。キャラクターをつくって終わりにせず、SNS投稿、店頭ポップ、見積書のひな形をセットで代理店に渡します。現場は「使うだけで整う」状態になり、本部はブランドの一貫性を保てます。

三つ目は、最初から複数年で育てる前提にすること。The UPS Storeが複数年のキャンペーンとしているのは示唆的です。単発で終わらせると「効果が見えない」と途中でやめることになり、かえってお客様や現場に不信を残します。

04

EDITORIAL PERSPECTIVE

地味な商材ほど、「顔」が効く

設備の保守、業務用の機器、法人向けのサービス。スペックや価格で差をつけにくい商材ほど、「この会社と付き合いたい」という気持ちが判断を左右します。

たとえば点検のお知らせを、無機質な会社名ではなく、整備担当のキャラクターの名前で届ける。お客様にとっては「会社からの通知」が「いつもの担当からの連絡」に変わります。お客様との接点が多い商材ほど、その積み重ねは大きくなります。

大切なのは、キャラクターをマスコットとして外に飾らず、日々の業務の流れの中に組み込むことです。

記事の考え方を表した概念イラスト
記事の考え方を表した概念イラスト(公式キャンペーン画像ではありません)。
05

EDITORIAL PERSPECTIVE

デザインの視点から——ブランドとキャラクターを切り離さない

Bluはブランド名入りの青いポロシャツと黒いパンツを着用し、広告ではポータルから現れて小規模事業者を助けます。その姿から、読み取れる意図があります。

制服を着ていることです。制服は所属を示します。Bluは一目で「The UPS Storeの人」と分かり、ブランドとキャラクターが切り離されていません。会社のロゴとキャラクターがまったく別の世界観で並んでいる例は珍しくありませんが、それでは顔がブランドを背負えません。

複数の媒体にまたがる展開も、デザインとして理にかなっています。キャラクターは、出会う回数が増えるほど「知っている」から「親しみがある」へ変わっていくからです。

06

EDITORIAL PERSPECTIVE

AIで量産する前に、確かめてほしいこと

いまは、キャラクターのイラストも、その口調で書いたお知らせ文も、AIを使えばすぐに何パターンもつくれます。私たちアイムホッピングも、日常的に使っています。

それでも、キャラクターの「人格」だけはAIで完結させないでください。

キャラクターは、会社の代わりに話す存在です。その口から何を語らせ、何を約束させるのか。それは、自社が何者で、お客様に何を約束するのかという核そのものです。核が決まっていないまま見た目と口調だけを量産すると、どこかで見たようなマスコットが一体増えるだけです。

だから、その核は人と対話しながら言葉にしてほしいのです。本部の中だけでなく、代理店や加盟店の声も聞きながら。現場が「これなら自分の店でも語れる」と思える人格は、会議室の外にあります。

07

EDITORIAL PERSPECTIVE

まず一つ、試してほしいこと

自社の代理店や加盟店、あるいは営業担当に、こう聞いてみてください。「お客様に、うちの会社をどう紹介していますか」。

返ってきた言葉が人によってばらばらなら、そこにはまだ、ブランドを語るための「顔」がありません。その答えを並べてみることが、キャラクターづくりの最初の材料になります。

Source & editorial notes

参考記事:Marketing Dive ↗

報道された事例をもとに、アイムホッピングが編集・解釈しています。日本向けの活用例は編集部の提案で、施策の効果を実証するものではありません。

図解・挿絵は記事の考え方や架空の場面を表現したもので、各社の公式広告素材ではありません。

← ハクライの記事一覧に戻る