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MARKETING × CREATIVE

クリエイターと、制作の進め方を変える。

文・編集 I'm Hopping  / 

記事の考え方を表した概念イラスト
記事のテーマを表した概念イラスト(公式キャンペーン画像ではありません)

新しい会社案内に載せる写真が、まだ一枚もそろっていない。

撮影日を決めるために制作会社と日程を合わせ、現場の都合を聞き、天気を気にする。撮ったあとは確認と修正の往復が続く。気づけば季節が変わり、載せたかった話題は古くなっている。

発信が遅れる理由を、経営者の方はよく「人手が足りないから」と説明します。けれど、本当の詰まりは人数ではなく、「誰がつくるか」の決め方にあるのかもしれません。

世界的なホテルグループが、その決め方を変えた事例があります。

01

REPORTED CONTEXT

何が起きたのか

米メディアMarketing Diveによれば、マリオット・インターナショナルは、会員プログラム「Marriott Bonvoy」の世界規模のキャンペーンで、制作の進め方を大きく変えました。

依頼の内容を固めてから、完成した素材がそろうまで、かかったのは4週間。対象となった目的地は23か所にのぼります。軸に据えたのは、クリエイター、つまり自ら発信している個人のつくり手が主導する制作でした。

Marketing Diveによれば、制作パートナーのBeautiful Destinationsが関わりました。ここでは、クリエイター主導の制作を短期間で広い範囲に展開した進め方に注目します。

02

EDITORIAL PERSPECTIVE

どう読み解くか——クリエイターの視点を制作に生かす

広い範囲の制作には移動や調整が伴います。この事例では制作パートナーとクリエイターが協力し、複数の場所で素材を制作しました。短期間で完成した理由を一つに断定することはできません。

この形には、三つの強みがあります。

一つ目は、現地らしさが最初から備わっていることです。旅やホテルの発信では、本物の土地の空気がいちばんの訴求力になります。それを外から持ち込む必要がありません。

二つ目は、つくることと届けることが分かれないことです。クリエイターは制作者であると同時に、自分の読者を持つ発信者でもあります。素材ができた時点で、すでに届け先がある状態です。

三つ目は、制作方法を事前に整えることで、関係者間の調整を進めやすくする可能性です。実際の承認回数や短縮効果は確認できません。

ここで見逃せないのは、マリオットほどの企業が、表現の細部まで自社で握ることをある程度手放した点です。

完璧に整った表現より、速くて本物らしい発信のほうが届く。その判断があったのだと読み取れます。

記事の考え方を表した概念イラスト
記事の考え方を表した概念イラスト(公式キャンペーン画像ではありません)。
03

EDITORIAL PERSPECTIVE

日本の中小企業が使うなら

そのまま真似するのはおすすめしません。社外の人が発信する内容について、社内の何人もが確認しないと出せない会社は少なくないはずです。その状態でクリエイターに任せても、承認待ちで結局止まります。法人向けの商材を語れるクリエイターが、まだ限られているという事情もあります。

活かし方は、「事後に直す」から「事前に枠を渡す」へ切り替えることです。使ってよい表現の範囲を先に言葉にしておけば、確認の回数は減ります。

規模も関係ありません。23か所でなくても、構造は同じです。

中小企業でもすぐ試せる形を三つ挙げます。

一つ目は、拠点や現場の担当者に「現場の便り」を任せることです。本社から撮影に行くのではなく、その場所にいる人が、その場の言葉で伝える。複数の営業所や現場を持つ会社なら、それだけで発信の量と鮮度が変わります。

二つ目は、社員をつくり手として育てることです。スマートフォンと簡単な撮影・編集の手ほどきがあれば、日々の仕事は十分な素材になります。採用の発信としても役に立ちます。

三つ目は、お客様に導入の様子を撮ってもらうことです。自社が整えた紹介映像より、使っている本人の言葉と映像のほうが、検討中の方には信じてもらいやすいものです。展示会の数日間に、社員が会場の様子を発信し続けるのも同じ発想の応用です。

04

EDITORIAL PERSPECTIVE

デザインの視点から——禁止事項より、「これが私たちらしい」の見本帳を

大勢のつくり手が関わると、統一感と多様さのつり合いが難しくなります。

この事例から、自社で複数のつくり手と仕事をする場合の方針を考えてみます。雰囲気やトーン、何を写すかの見本を共有し、それぞれの表現を生かす方法が考えられます。以下は編集部の提案です。

中小企業がまず用意するとよいのは、「やってはいけないこと」の一覧ではなく、「こういう表現がうちらしい」という見本の一覧です。

肯定の見本があれば、社員もお客様もクリエイターも、迷わずに同じ方向を向いて動けます。

記事の考え方を表した概念イラスト
記事の考え方を表した概念イラスト(公式キャンペーン画像ではありません)。
05

EDITORIAL PERSPECTIVE

AIで量産する前に、確かめてほしいこと

いまは、表現の指針の文章も、投稿の文案も、AIでいくらでも整えられます。私たちアイムホッピングも、指針の原案や文案の比較にAIを日常的に使っています。

ただ、その見本帳の中心にある「私たちらしさ」だけは、AIに書かせて終わりにしないでください。

つくり手を増やすというのは、自社の核を増幅する装置を増やすということです。核が曖昧なまま人数を増やせば、曖昧さも人数分に増えます。AIに尋ねれば、それらしい「らしさ」の文章は返ってきます。けれど、それはどの会社にも当てはまる言葉です。

何を写せば自社らしく、何を写すと違うのか。それは、社員やお客様と実物を前にして話しながら決めるものです。

06

EDITORIAL PERSPECTIVE

まず一つ、試してほしいこと

これまでに自社が出した写真や投稿の中から、「これはうちらしい」と思うものを五つ選んでください。

選んだら、幹部や現場の社員に同じことをしてもらい、結果を見比べる。重なったものが見本帳の最初のページになり、ずれたところが、つくり手を増やす前に話し合うべき論点になります。

Source & editorial notes

参考記事:Marketing Dive ↗

報道された事例をもとに、アイムホッピングが編集・解釈しています。日本向けの活用例は編集部の提案で、施策の効果を実証するものではありません。

図解・挿絵は記事の考え方や架空の場面を表現したもので、各社の公式広告素材ではありません。

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